西門町で逢いましょう
1996年1月5日(星期五)
阿雲が働く仕立屋
1月5日、金曜日。台北。晴れ。今日も暖かい。
西門町近辺のロケ地めぐりをする。まず、中華路一段と成都路が交わる西門町のロータリーからちょっと入ったところにあるポルノ映画館、紅樓劇場へ行く。ここは、“戀戀風塵”で阿雲が働く仕立屋として使われている。
ロータリーからすぐなのに、ロータリーの賑やかさとは無縁に静かに建っている。古びた建物で、前回、次に来たときにもあるだろうかと思ったのだが、全く変わらない様子で、表の映画館もちゃんと営業している。映画に出てくる裏側の階段も、変わらず60年代的台北の雰囲気を醸し出していた。
Markが新聞を読む歩道橋
次に、西門町のロータリーの上にかかる歩道橋へ行く。西門町と台北車站の間を行き来するのにしょっちゅう通っているところだが、このあたりは、香港映画、“英雄本色(男たちの挽歌)”[C1986-53]に出てくる。前半、宋子豪(狄龍)が最後の「仕事」のために台灣へ行き、ハメられて逮捕されてしまう。彼の相棒であるMark(周潤發)が、歩道橋の欄干にもたれて、そのニュースを新聞で読むのがこのあたりだ。
残念ながら、映画が作られた1986年から10年間で、このあたりは随分変わってしまっている。映画では中華路を鉄道が走っているが、現在は地下を走っており、 歩道橋自体も当時とは変わっている。しかし、ロータリーに面した建物は当時の面影を残しており、例えば‘新東陽’の赤い看板(‘旭光冷氣照明’の右)は映画と同じだ。
美美が泣く公園(その2)
先日は夜になってしまったので、再び大安森林公園へ行く。今日は天気もよく、公園日和だと思って出かけたが、昨日にも増して暖かく、強い陽射しの下は初夏といってもいいくらいの暑さである。名前の通り森林公園になっていれば随分気持ちいいだろうと思うが、現在はほとんど影さえない。
“愛情萬歳”の最後、美美が公園に入ってから野外ステージのベンチにたどり着くまでをシミュレートしてみる。広い公園で特徴的なものが少ないこと、映画の中ではまだ造成中だったため様子が違うこと、木が大きくなっていることなどから、映画に出てくる場所をきちんと特定することはできない。途中でカメラがパンしたとき、道の向こうに見える教会・聖家堂はわかった。
“愛情萬歳”は、映画音楽が全く使われていない代わりに、現実のいろいろな物音がきめ細かく入っているところが魅力だ。このシーンでは、早朝の静かな公園に美美のヒールの音だけが高く響いていて、しかもカメラと美美の位置関係が、靴音の大きさでわかるところが非常に印象に残っている。
美美が横断する道路
大安森林公園は信義路に面している。信義路は、両側の歩道や中央分離帯に街路樹が植えられた、広くて美しい通りだ。中央分離帯のところどころ、‘禁止跨越 違者罰360元/講習’と書かれた赤い看板が景観を乱している。“愛情萬歳”では、美美がこの看板のある道路を横断するが、これは公園の前のあたりだと思われる。
台灣は日本以外の多くの国と同じく、赤信号や横断歩道のないところでの横断は日常茶飯事である。こんな看板で景観を乱しても意味はないと思うが、緑の街路樹に看板の赤が映えて、美しいと思えなくもない。360元といえば約1400円であり、たいした罰金ではないが、‘講習’の中身が気になるところである。
美美、阿榮、小康が入り込むマンション
“愛情萬歳”
“愛情萬歳”の主な舞台は、高級マンションの空室である。不動産会社に勤める美美が担当している物件のひとつであり、ここに美美、阿榮、小康(李康生)の3人の男女が出たり入ったりし、出会ったりすれ違ったりする。
このマンションは、映画の中では大安森林公園の前を少し入ったあたりにあるようだ。そこで‘禁止跨越’の信義路を横断してそのあたりを探してみるが、それらしきところは見つからなかった。近くの通りを歩いていると、映画の中で美美がやっていたように、物件を公開中であるという看板が車の上に載っているのを見つけた。
唐小姐が住むマンション
“只要爲你活一天”
“只要爲你活一天”の中で、ヤクザ(高捷)の愛人、唐小姐(葉玉卿)が住む円筒形の高層マンションを偶然見つけた。台北の東部、信義路五段にある震旦大樓というビルで、実際にはマンションではなく、オフィスビルのようだ。
警備が厳しそうなビルで、ビルの中から入口の写真を撮ろうとしたところ、警備員に“小姐!”と呼び止められ、つい逃げてしまった。
‘台北’を表すロータリー
“英雄本色”
“英雄本色”で舞台が香港から台北へ移ると、ロータリーが映し出され、‘台北 TAIPEI’という字幕スーパーが出る。ここは大安區の仁愛路四段と敦化南路一段が交差するロータリーである。以後、ここを『挽歌ロータリー』と呼ぶことにする。
台北を表す場所としてここを使うのはあまり一般的ではない気がする。今ならば、駅前の新光三越あたりがふさわしいだろうか。しかし、信号が青になったとたん、無数のバイクがいっせいに飛び出していくさまは、台北を象徴しているといえなくもない。
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