ドゥ・マゴで逢いましょう2004

2004年10月30日(土)


10月30日、土曜日。雨。

今日の予定は夕方の1本だけなので、昼ごろにまず新宿へ行く。野村ビルの夢民でグリーン野菜の4番を食べてから、『ターンレフト ターンライト』を観にシネマミラノへ。今日が初日なのでかなり混んでいる。

ターンレフト ターンライト

この映画を観ようと思ったのは、台北が舞台の台北ロケ映画だからである。観てどうだったかといえば、台北ロケでなかったら決して観なかったであろう映画だった(でも観ないわけにはいかない)。原作が絵本だというのが災いしているのか、メルヘンチックで、描写も演技も大げさで、恥ずかしくて見ていられない。さわやかでちょっと切ないラヴ・ストーリーという感じの、けっこういい映画ができそうな素材なのにもったいない。金城武と梁詠琪といえば、究極のナチュラル系俳優なのに、こんな映画を作ることはないじゃないか。梁詠琪に、「ちょっとドジな夢見る女の子」みたいな役をやらせなるなんて。堀ちえみじゃないんだから。

台北ロケは、実際の位置関係は無視して、捷運の北投站が最寄り駅の家(これ自体、たぶん全然別のところにある)を出て少し歩くと西門町だったりした。たしかに台北ロケなんだけれど、香港映画のせいか台灣の匂いがしない。

◇◇◇

六本木へ移動する。周星馳の『カンフー・ハッスル』の上映を前に厳戒態勢がとられており、チケットを見せないと映画館内のエスカレータに乗れなかった。

ビヨンド・アワ・ケン ◇ 公主復仇記 ◇ Beyond Our Ken

映画祭12本目は、アジアの風部門の『ビヨンド・アワ・ケン』。「香港新人類 - 彭浩翔監督」特集の一本で、できたての新作である。

ケン(呉彦祖)の彼女(陶紅)と元彼女(鍾欣桐)が主人公の映画(その前の彼女は月丘夢路だったかも)。原題の“公主復仇記”が示すとおり、お姫さまの復讐物語である。問題は、誰が誰に復讐するのかということだ。

本当のケン、鍾欣桐が知っているケン、鍾欣桐が語るケン、陶紅が知っているケン、陶紅が語るケン。これらの間には、微妙な、あるいは大幅なずれがある。観客は、ほとんど「鍾欣桐が語るケン」によって、時々は「陶紅が語るケン」によって、ケンという人物を知ることになる。最初に鍾欣桐が語り始めたとき、おそらく多くの観客は「本当かな?」と疑う。しかしいつのまにかすっかり信じ込まされてしまう。そしてあたかも我々の視線=陶紅の視線であるかのように錯覚してしまうが、我々は「陶紅が知っているケン」を知らないのだから、その間には当然ずれがある。映画は、このようないろいろなずれを時々ちらっと匂わせながら進行していく。なかなかよくできた映画である。

彭浩翔監督の映画を観るのは初めてで、今回の特集でもこれ一本しか観られなかった。この映画は日本で公開されるようなので、ほかの映画もぜひまた上映してほしい。監督はコメディ以外も撮れることを示したくて撮ったと語っていたが、これも一種のコメディではないだろうか。

陶紅は『ションヤンの酒家』に主演していた女優だが、私は『ションヤンの酒家』を観て、30代後半くらいの人だと思っていた。なので、すごく若そうなケンの彼女が陶紅だと気づくのに20分くらいかかった1

上映後は、彭浩翔監督、主演の鍾欣桐、陶紅、呉彦祖をゲストに、ティーチ・インが行われた。呉彦祖がデビューしたとき、久々の正統派美少年だと思ったが、いつのまにかすっかり容色が衰えている。映画の中でも生で見てもふつうの人だった。

ティーチ・イン詳細

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映画館を出ると、『カンフー・ハッスル』のカメラ・チェックの長い列がのろのろと進んでいた。ベーグルを食べて帰る。


1]このあとで、「陶紅って、『太陽の少年』や『恋人』に出ていたタオ・ホンだったんだ」とわかったつもりでそのように書いたが、実は別人だった。「目の大きさが違う」とは思っていたが、あちらは陶虹で、字まで違っていた(だからやはり中国語固有名詞は漢字で書くべきである)。


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作成日:2004年12月10日(金)
更新日:2005年1月12日(水)