流浪到風櫃

1997年4月24日(星期四)

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値上げとおやじと禁煙

4月24日、木曜日。北鎌倉。晴れ。

午後1時すぎのエアポート成田で成田空港(第1ターミナル)へ。運賃が￥2160から￥2210に値上がりしている。許しがたい。

27日の夜まで一人旅である。乗るのは初めてのノースウェスト航空(NW)の11便［注1］。空港渡しのツアーのチケットだったので、いきなり搭乗券をくれる。初めての体験で、「チェックインはしなくていいんですか？」などと、馬鹿なことを聞いてしまった。並んでいる間も、ツアーの人がはずかしいバッヂをもらっているのを見て、「あんなのを渡されちゃったらどうしよう」と悩んでいたが、もちろん渡されなかった。空港使用料も￥2000から￥2040に値上がりしている。まったく許しがたい。

それほど混んでいるように見えなかったので、カフェラテを飲んだりしてくつろいでいたら、出国審査の列が階段の上までできていた。同じ飛行機に乗るらしいおやじグループが、混雑をものともしない大声で話をしている。彼らは夕方日本発、朝台北発の2泊3日のツアーらしい。「このツアーは、実質明日一日しかないから安いんだよな。きっと帰りはガラガラだよな。今夜行って明日の朝帰るやつっているのかな。それだったらチケットむちゃくちゃ安いよね。」どんなやつかちょいと見てやろうと思って振り返ったら、「おまえの声がでかいんだよ」「おまえだよ」と、互いになすりつけあいを始めた。このてのおやじは面と向かって嫌な顔をしても気づかないのが普通だが、意外に繊細である。

定刻の6時20分ごろ成田を出発。乗客は、日本人、台灣人、アメリカ人が1/3ずつといったところ。夕食後、時計を1時間遅らせて台灣時間にし、乗るときに入手した民生報を読んだり、北京語の勉強をしたりして過ごす。どうやら禁煙席で煙草を吸っている不届き者がいるらしく、機長から注意のアナウンスが再三あったあと、ついに全面禁煙になってしまった。

食欲がなければ生きていく資格がない

9時ごろ、中正國際機場に到着。約1年4か月ぶり、三度目の台灣である。

ここの入国審査に人が並んでいるのを見たことがなかったが、今日は5人程度だが列ができていた。外に出ると、出迎えの人と客引きでできた花道を抜けて、台北車站までの高速バスの切符を買う(NT$115=￥544［注2］)。バスに乗っているのは、ほとんど台灣人ばかりだ。日本人はいったいどこに消えてしまうのだろうか。みんなツアーなのか、送迎バスのある高級ホテルに泊まるのか、タクシーに乗るほど金持ちなのか、それとも単に荷物を預けているのか。

台北(台北市)に到着。台北車站バス停は台北車站からけっこう離れているが、ライトアップされた新光三越が燦然と輝いているため、駅の方向を誤ることはない。暑さを求めてやってきた私の期待を裏切って、夜の台北は寒い。

ふと見ると、前を歩いているのはバスで隣に座っていた女性である。バスの中で、彼女はずっと食べていた。持っていたお菓子を食べたあと、お土産らしき大きな箱のセロファンをばりばりとはがし、おもむろに開けて食べていた。今、彼女はすでに、屋台で買ったものをほおばりながら歩いている。実に台北らしい光景だ。ここは、食欲旺盛でなければ生きていく資格がない街である。

Channel [V]がなければ生きていけない

22時半ごろ、予約してある台北市中華基督教青年會國際賓館(Taipei YMCA International Guest House)に到着。駅から近いうえに、前にレコード屋、近くに7-ELEVENと全家便利商店ファミリーマートという超便利な環境である。部屋は比較的狭いが、冷蔵庫もテレヴィもドライヤーもある。私が知っているYMCAの中では、香港(油麻地)＞台北＞シンガポール＞クアラルンプルという位置づけだ。

台灣での大きな楽しみ。それは、テレヴィである。台灣にはStar TVをはじめとする衛星放送やケーブルTVが、全部で80チャンネルくらいある。週に2時間くらいしかテレヴィを観ない私が、台灣に来ると突然テレヴィっ子に変身するのだ。66がChannel [V]、65がMTV、67が華衛音樂台。この3つの音楽チャンネルがあれば、とりあえず生きていける。

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[1] 航空券

H.I.S.で￥39000。

[2] NT$のレート

旅行中の両替の平均値はNT$1=￥4.73だったので、この値で概算している。

特に明記していない場合、交通費は一人分、食費は4/27までは一人分で4/28以降は二人分、宿泊費は一部屋分である。

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