第11回東京国際映画祭


ティーチイン

『枕の上の葉』


参加者(敬称略)

ゲスト●Garin Nugroho(監督)、Christine Hakim(主演/プロデューサー)
司会●?
通訳●?(インドネシア語-日本語)、?(英語通訳2)(日本語-英語)


■観客1(英語):主役を演じた少年たちは今何をしているのか。彼らの夢や将来はどうなるのか。
◆Garin Nugroho(インドネシア語):映画の後で、彼らが自立でき、彼らの生活がそれまでよりもよくなるようにしたいと考えながら、彼らと一緒に仕事をした。幸い、彼らを受け入れてくれる人も現れ、主役の3人のうち、Heruは現在劇場で働いているし、別の少年は絵の勉強をしている。ひとり、まだストリートで暮らしている少年がいる。
◆ストリートチルドレンの将来についての質問に答えるのは難しい。NGOの人たちとも話し合って協力してもらっているが、彼らの問題を本当に解決するのは困難である。3年前にストリートチルドレンについてのドキュメンタリー映画を撮ったが、撮っている間にも、どこでどうやって死んだのかもわからないような形で何人もの子供たちが死んでいった。大きな関心をよせているが、それに対してどうしたらいいのかわからない。ドキュメンタリーだけではなく、映画を通して彼らの現状を人々に知らせたいと思い、今回は劇映画として撮った。
◆Christine Hakim(インドネシア語):撮影が終了する1週間前に、出演した子供たちはこの後どうなるのだろうと思い、それからずっとどうしたらいいか考え続けた。映画が終わっても子供たちを放っておくことはできず、エグゼクティヴプロデューサーとも相談した。中でも4人の子供たちは、非常に可能性をもっていたので、将来が心配だった。最終的には、その4人のうちの2人を家に連れて帰って6ヶ月間世話をした。その結果、ひとりは私の兄がやっている家具制作の仕事を手伝うことになり、Heruはジョグジャカルタの音楽の学校に進ませた。
◆途中から、彼らの問題はひとりひとり全く違うので、早急に解決することはできないと思うようになった。Heruは8歳のときからストリートで生活しており、読み書きもできない。しかし、音楽的才能は素晴らしかったので、音楽学校へ入れてあげようと思った。彼に話すと大変驚いて、自分が学校でちゃんとやっていくのは無理だと思ったようだが、彼の才能が将来インドネシアの音楽の創造にきっと役立つと思っている。
◆Sugengは、小学校4年まで学校に行っていた。彼は頭がよく、特に電子技術方面の才能があるようなので、ジャカルタの学校に入れることにした。Kancilは、読み書きができないが、絵を描くのが好きだ。今後、絵の中に自分を表現していってほしいと思う。
◆彼らは母親の愛情を知らずに育っているので、母親というものに強い憧れを持っている。そのせいか、自分がポストプロダクションのためオーストラリアに行っている間に、彼らはジャカルタからジョグジャカルタに帰ってしまった。ジョグジャカルタは人々を暖かく受け入れる土地柄であり、ジョグジャカルタで暮らすことは、自分の本当の家にいるような感じがするのだと思う。彼らの問題を早急に解決するのは難しいが、彼らは今、自分自身で人生を考え、動機をもって自分の人生をよりよくしようとしており、刑事事件などにも巻き込まれないように気をつけている。
(この質問に対するChristine Hakimさんの答えはまだ続くが、やむを得ずここで退席したため、この後は不明)

映画人は語る1998年11月3日ドゥ・マゴで逢いましょう'98
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作成日:1998年11月4日(水)
更新日:2004年12月11日(土)