今日の2本目、映画祭7本目は、同じく香港映画祭で、許鞍華監督の新作『千言萬語』。今回の香港映画祭のプログラムでは、東京国際映画祭の招待作品を兼ねている『花樣年華』を除くと唯一、以前から観たかったものである。前の映画が終わって会場を出ると、そのまま階段に並び、立ったまま昼食。
■映画について
1980年代の香港で社会運動に携わった名もない人々を描いた映画。運動の対象は、水上生活者の生活向上から不法移民の問題、そして天安門事件へと、香港返還と歩みを合わせるように、香港の一地域の問題から中国へと広がっていく。しかし運動は、ほとんど社会を変えることもできないし、人々を動かすこともできない。彼らの味わう挫折を、個人的な恋愛の挫折と絡めて描いている。
この映画はまた、李康生演ずる阿東の成長の物語でもあり、彼はささやかな望みを託された人物であると思う。彼はもともと個人的な問題を抱えた一種の不良少年であり、なかば偶然に運動に参加し、運動の挫折や恋愛の挫折を味わう。しかし彼自身はそれらの体験を通じて人間的に成長するし、社会運動や介護の仕事が彼を救い、癒す役割を果たし、個人的な問題を乗り越えていく。
この映画も、今のところ公開予定がない。許鞍華は、コンスタントに撮っている香港の監督の中で5本の指に入ると思うが、『女人、四十。』より後の作品が公開されいないのは、まったく嘆かわしいことである。李康生主演の許鞍華作品なんて、『河』を観た人なら誰でも観たいと思うのだが。ところで今日は、期せずして「黄秋生デー」になってしまったが、別にファンなわけではない。
■ティーチイン
質疑応答要旨
ゲストは許鞍華監督。ティーチインがあるのにも驚いたが、もっと驚いたのは司会が市山さんだったことである。パソコンを持ってきていなかったので、上の要旨は記憶に基づいて書いたものである(ので、間違い、抜け等があってもお許し下さい)。
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