大陸的厠所怎麼樣? 〜トイレの特徴〜 |
大陸かわや版
- 便器いろいろ
- ■ 便器のタイプには、和式、洋式、溝、馬桶がある。
- ■ 和式トイレは、日本と同じく金隠しのあるタイプと、マレイシアや香港のようなどちらが前かわからないタイプがある。ドアさえあれば、最も無難なタイプである。
- ■ 洋式トイレは比較的きれいな場合が多い。便座に靴跡が付着しているとか、水洗の水が便座に飛び散っているとかいった、「洋式の憂鬱」を感じることは少ない。これは洋式がまだ主流ではなく、比較的高級なところ、新しいところに設置されているためだと思われる。
- ■ 溝トイレは、溝を便器代わりにするもの。1本の共通の溝を分割するように個室や仕切りがある(何もない場合もあると思われるが)。水洗の場合、水は一定間隔でまとめて流されるようだ。タイル張りなどで排泄物がたまっていなければ、意外に清潔な感じがする。ただし途中で「水洗タイム」に遭遇すると、他人の排泄物が通過するのを眺めてしまうこともある。
- ■ 溝トイレには、上述のタイプの他に、一人分ずつの溝が平行に並ぶものもある。また、溝ではなく単なる穴のものもあると聞くが、遭遇したことはない。これらはスタイルとしては和式と同様で、単に便器がないものとみなすことができる。(星取り表では「和式」に分類する。)
- ■ 馬桶とは、トイレのない家で夜使う便器兼容器である。東方書店「簡明中日辞典」には、「便器;木製あるいはほうろうびきの蓋つきの便器。」とある。朝、中身を捨てに行き、洗って干しておくので、上海や蘇州ではよく見かけたが、東北や華北では見かけなかった。なお、金子光晴は「糞槽」と書いている。
- ■ 和式、洋式、溝の比率は、上海では比較的拮抗していたが、東北、華北では圧倒的に和式が多かった。
溝トイレ 蘇州にて。 |
馬桶 蘇州にて。 |
- 部屋いろいろ
- ■ 部屋のタイプには、仕切り、ドア共に十分な高さを持つ個室、仕切りもドアもあるが高さが低いもの(しゃがんで頭が出ないくらいの高さ)、しきりは天井まであるがドアがないもの、仕切りの高さが低くドアもないもの、仕切りもドアもないものなどがある。ここではそれぞれ、「個室」、「低い個室」、「ドアなし」、「開放型」、「大開放型」と呼ぶことにする。
- ■ 低い個室は、身支度をするときに見えてしまう/見てしまうのが問題である(もちろん、そんなことはすぐに気にならなくなる)。
- ■ 低い個室やドアなしトイレは、臭いがこもる、暗いといった問題へのひとつの解決策になっている。したがって、快適さを向上させているという見方もできる。
- ■ 待ち行列さえなければ、ドアがなくても没問題である。ドアがないのが気になる人は、できるだけ蒸し暑い季節や土地を選んで旅行するとよい。
開放型 上海、宋慶齢陵園にて。 |
- 部屋と便器の関係は?
- ■ 部屋のタイプと便器のタイプには明らかに関連がある。
- ■ 次の式は常に成り立つ。‘if (洋式トイレ)→then (個室)’、‘if (溝トイレ)→then (NOT 個室)’。
- ■ ドアなしトイレは、溝の場合と和式の場合とがある。
- ■ 溝の場合、入口と平行に設置されていることが多く、待っている人がいても直接顔を合わせることはない。待っている人がいなければ、ドアがないことはまったく気にならず、けっこうなごめる。
- ■ 和式の場合は、たいてい入口の方を向くような設計になっており、待っている人と顔をあわせる、通称「にいはおトイレ」である(「にいはおトイレ」が指すものについては諸説あるようだが、本ページではこのタイプを「にいはおトイレ」と呼ぶことにする)。一列に並んだりしないので、混んでいると、顔の目の前に準備完了の人が立ちはだかり、プレッシャーをかけられる。したがって、「ドアなし×和式」は最も避けたい組み合わせである。
- ドアがあれば安心か?
- ■ 初めてのトイレにおそるおそる入る。「よかった、ドアがある。」
……安心してはいけない。ふつうドアは閉まらない。ふつう鍵は壊れている。(星取り表では、ドアや鍵に問題がある個室は「*」を付して示す。)- ■ もしドアが閉まらなかったら、別の個室に移動するだろう。しかし、たいていそこも閉まらない。2回で学習し、3回目からは移動しなくなる。
- ■ 「どうせ閉まらないのなら、ドアがない方がマシ」と思わせるためのワナかも。
- ■ 鍵の閉まらないドアは、下手に閉めるより、いるのがわかるくらい開けておくのが安全。外側に開くドアが多いので、いきなり開けられると止めるすべがない。
- ■ 人がいるトイレといないトイレとを見分けられるように、「空いているトイレのドアは思いっきり開けておく」「少しだけ空いているトイレを思いっきり開けない」などのルールが、ある程度確立している。
- 旅の必需品その1:トイレット・ペーパー
- ■ トイレット・ペーパーはないことが多いので、常に携帯しておく。そうすれば、紙があるかどうかを気にする必要もない。
- ■ トイレット・ペーパーがある確率は、都市の経済発展の度合いやお店の高級感にある程度比例する。
- ■ 有料トイレでは、お金と引き換えにかたい紙をくれることがある(星取り表では「配布」と記述)。もしかしたら、上海だけかもしれない。
- ■ 個室の外にロールが備え付けられており、必要な量を取ってから個室に入るところもある(星取り表では「共同」と記述)。このタイプは空港に多い。個室に入る前に、ひととおりトイレ内を見回して確認したほうがよい。
- ■ 日本から持って行くのがよいが、現地調達も可能。鉄道の車内販売にもある。瀋陽のコンビニエンス・ストアでは、1個売りのもので最も安いのが1.7元だった。
- ■ ホテルでも備え付けのトイレット・ペーパーが少ないことが時々ある(最初から小さいロールが使われている)。そんなときにも、持参した紙が役立つ。
- 使った紙はどうする?
- ■ ホテルの部屋以外では、使用済トイレット・ぺーパーを便器に捨ててはいけない。各個室には、蓋のないくずかごがあるので、そこに捨てる。
- ■ 「捨てるな」という注意書きは見たことがない。「何も書いてないから大丈夫だろう」などと思ってはいけない。
- ■ 北京の公厠などは、水洗ではないところが多い。そういうトイレでは便器に捨ててよい(くずかごも置いてない)。
- タダではできない
- ■ 「排泄するにはお金がかかる」と思っておいたほうがよい。「寄生虫博士の中国トイレ旅行記」[B265]によれば、これは最近のことらしい。
- ■ 公厠は、繁華街や大通りにあるものは有料、路地などにある住民用のものはタダ。
- ■ 観光地は、上海では有料のところが多かったが、その他の都市はほとんどタダだった。
- ■ レストランやデパートはふつうタダである。
- ■ 有料の場合、入るときに入口で定額を払う。基本的には、値段の決まっていないチップトイレはない。高級ホテルなどではそれらしき雰囲気の服務員が立っている場合もあるが、払う必要はないと思う(念のため、サービスしてもらわないようにしておく)。
- ■ 値段は、ふつうのトイレが1角〜5角くらい。ボックス式は少し高くて5角〜1元くらい。上海や東北ではばらつきがあったが、2001年の北京では、ふつう3角、ボックス式5角が相場だった。
- ■ トイレに備えて、1角、2角、5角などの細かいお金を持っていると便利。ただし管理人に払う場合、おつりはもらえる。
- ■ 男性の場合、大と小で値段が違ったり、大のみ有料だったりすることもあるらしい。
- ■ トイレのきれいさと値段との間に、明確な相関は見つかっていない。
- 公厠いろいろ
- ■ 公厠(公衆便所)は、ひとつの建物で男女別になっているふつうのトイレと、仮設トイレのようなボックス式のものとがある。
- ■ ふつうの公厠の方が圧倒的に多い。有料のところは、入口に管理人がいて、入るときにお金を払う。値段は入口などに明示されていて、1角〜5角くらい。
- ■ ボックス式は、繁華街などにあって、有料である。上海にはお金を入れて入る無人のものがあったが、その他の都市は、管理人がお金を徴収していた。ちらっと見たところでは、男女兼用の和式タイプで、手を洗う設備はなさそうである。
- ■ 寒いところでは公厠にもスチームがある。スチームの熱がよく伝わるためにも、ドアはない方がいいのかもしれない。
かわいい公厠 大連、中山廣場近くにて。 |
胡同の公厠 北京にて。 |
ボックス式 上海、虹口にて。 |
- 旅の必需品その2:ウェットティッシュ
- ■ ドアなしトイレを無事に乗り切った。「あとは手を洗うだけ。」
……安心してはいけない。洗面所があるとは限らない。洗面所の水が出るとは限らない。- ■ このときほどウェット・ティッシュを持っててよかったと思ったことはない(特別手が汚れていたわけではないので、いろいろ想像しないように)。
- ■ 上海では、いつも手を洗うことができた。東北では、洗面所の水が出ないことが何度かあった。北京では、洗面所がないことがよくあった。
- ■ 洗面所がある場合、断水しているわけではなく、壊れているために水が出ない。不可解なのは、蛇口やレバーがなくなっているというパターンが多いことである(安物を使っているんだろうと思われるかもしれないが、TOTOのもしっかりなくなっていた)。
- ■ 客用の洗面所が全滅でも、掃除用のは生きている場合がある。最後まで諦めずにチェックすること。
- 水は流す?
- ■ おばさんが出てきた後に入ると、どうも水が黄色い。そういえば流す音もしなかった。
……しかし、責めてはいけない。水不足のため節水に協力している、環境のことを考えているおばさんなのかもしれないから(流さないと別の意味で環境に悪いとは思うが)。- ■ 小だと流さない人がけっこういる。
- ■ 大を流さない人は滅多にいないように思われる。どこへ行っても、旅行中一度は「うんち山盛りトイレ」に遭遇し、流してみると流れるので、「どうして流さないのだろう?」と不思議に思うことがある。しかし大陸では未だにそういう状況に出会ったことはない。
- ■ 溝トイレの場合は一斉に流すので、お土産は置いたまま出る。
- ■ 洗面所と同様、水が出ないトイレも時々ある。やはり、レバーや紐がなくなっていることが多い。
- 渋滞しないのは?
- ■ トイレが混んでいることはあまりない。その理由のひとつとして、個室滞在時間が短いことが挙げられる。
- ■ なぜ個室滞在時間が短いかといえば、身支度は個室の外でするからである。用が終わってドアを開けると、待っている人がスカートをまくったり、ファスナーを下ろしたりして準備している。あるいは、トイレに入ると、服装を整えながらおしゃべりしている人たちがいる。こういうことはそれほど珍しくない(パンツを下ろす/上げるなど、最低限のことは個室でするので誤解なきよう)。
- ■ これは「みっともない」ことなのだろうか? やたらと渋滞する日本のトイレのことを考えると、少しは見習ったらどうかとも思う。「一列に並ぶ」のと同様に、テレビ等でキャンペーンをすれば案外定着するかも。
- 中国人の行動いろいろ
- ■ 女性でも、手を洗わない人がけっこういる。デパートなどでは滅多にいないが、観光地や公厠ではよく見かける。
- ■ 中国に限らないが、手を洗っても拭かない。電気乾燥機はわりと普及していて、利用している人も見かける。しかし、私以外の人がハンカチで手を拭いているのは見たことがない。
- ■ デパートの店員が、「My石鹸」を持ってトイレに行くのをよく見かける。石鹸で手を洗うのはよいことだが、彼女らは、石鹸で顔を洗ったりタオルを洗濯したりして、何十分も洗面所を平気で占領することがある。「My石鹸」を持った店員には注意しよう。
- ■ ドアがあっても閉めない人、水を流さない人、手を洗わない人は、かなりの程度、一致する。
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