第12回東京国際映画祭
真夜中までティーチイン
参加者(敬称略)
ゲスト●和田誠(監督)、李嘉欣(主演女優)
篠田昇(撮影)、立川直樹(音楽)
司会●襟川クロ、英語-日本語通訳
- ■観客1(日本語):李嘉欣は日本語が上手だったが、いつから勉強していたのか?
- ◆李嘉欣(英語):自分の日本語が観客に理解してもらえないんじゃないかと心配していたが、これを聞いて安心した。2年前から香港で勉強していた。今回の出演が決まって、先生に非常に厳しく特訓してもらったが、アクセントが広東語とかなり違うので苦労した。
- ■観客2(日本語):映画ファンにとって、痒いところに手が届くような映画だったと思う。和田監督はずっと真田広之と一緒に映画を撮っている。監督にとって彼は、Alfred HitchcockにとってのJames StewartやCary Grant、Brian De PalmaにとってのRobert De Niroのような存在か?
- ◆和田誠(日本語):監督と俳優のよいコンビネーションはいろいろある。黒澤明と三船敏郎、John FordとJohn Wayneなど。自分はまだ数本しか映画を撮っていないが、真田広之は他の監督の映画にもたくさん出ている。だから向こうはどう思っているかわからないが、一方的にはいいコンビネーションになっていると思う。
- ■観客3(日本語):自分は真田広之のファンである。ゲストひとりひとりに、彼をどう思ったかを聞きたい。
- ◆李嘉欣:非常にプロフェッショナルな俳優だと思う。とてもハンサムだが、それだけではなく、まわりの人間の力になってくれる。
- ◆篠田昇(日本語):以前コマーシャルで一緒に仕事をしたことがあり、最初は優しい人という印象だった。カメラ・アングルとか、仕事をわかってくれているのでやりやすい。プロフェッショナルであるだけではなく、熱い心がある。
- ◆立川直樹(日本語):みんなも言っているようにプロフェッショナルで、日本では数少ない映画俳優だと思う。この映画はジャズ・クラブのシーンから始まるが、撮影までトランペットを持ったこともなかった彼がここまでやった。来年の一般公開時には、彼をメンバーに入れてツアーをやろうかと監督とも相談している。
- ◆司会:彼は実際にちゃんと吹いていたのか?
- ◆立川直樹:五十嵐さんというトランペッターがついて、すごく特訓した。真田広之は五十嵐さんの指の動きをひとつひとつコピーしたが、単なるコピーだけではあそこまではできない。映画のマジックである。
- ◆和田誠:彼と初めて会ったのは、『麻雀放浪記』のとき。彼は主役だが、脇役が強烈なためあまり目立たない役だった。その頃まだ若くて、アクション映画の大スターだったので、目立たなくてもいいかどうか確認した。彼は「映画全体がよくなるためなら、自分の役はどうでもよい」と言ってくれたので気に入った。映画全体のことを考えられる役者だと思う。
- ■観客3:李嘉欣が映画の中で唄っていた『月の砂漠』を、今ここで唄ってもらえないか?
- ◆李嘉欣:もう歌詞を全部憶えていないかもしれない。
- ◆司会:一般公開の時にツアーをするという話が出ていたので、そのときに来日して唄ってもらおう。
- ■観客4(日本語):李嘉欣の大ファン。新しく公開される作品は全部観ているし、古い作品もヴィデオを探して観ている。この映画や『フラワーズ・オブ・シャンハイ』など国境を越えて出演しているが、そのことについてどう考えているか?
- ◆李嘉欣:自分の国以外で仕事をすることで、異文化間の理解を深めることができる。いい脚本、いい監督であれば、アジアでもその他でも仕事をしたい。特にいい監督というのが大事。
- ■観客4:化粧品のコマーシャルにも出ているが、今後日本で仕事する予定はあるか?
- ◆李嘉欣:映画の方が本業と考えており、できれば映画に集中したい。日本での仕事は、機会があればしたいと思っている。そのためにはもっと日本語を上達させる必要がある。
- ■観客5(日本語):真田広之と一緒にこの映画の脚本をあたためてきたということだが、そのプロセスについて教えてほしい。
- ◆和田誠:真田広之は非常に音楽が好きである。以前にジャズ・ベーシストの役をやったこともある。ベースを持って走るのは難しいが、トランペットなら走りやすい。彼は最近あまりアクションをやっていないので、体が動くうちにアクションっぽいものをやっておきたいということもあった。音楽的な才能を生かせてアクションもあるということで、トランペッターの役をお願いしたところ、いい脚本ができれば引き受けるということだった。
- ◆脚本は、最初と真中と最後をまず自分が考えて、共同脚本の長谷川隆と間を埋めていった。面白いアイデアはほとんど長谷川隆によるもの。
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1999年11月6日
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