第12回東京国際映画祭

ダークネス&ライトティーチイン

参加者(敬称略)
ゲスト●張作驥(監督)、 呂蒔媛(製作)、張藝(音楽)
李康宜(主演女優)、范植偉(出演男優)
司会●襟川クロ
北京語-日本語通訳●小坂史子、日本語-英語通訳


■観客1(日本語):この映画はシンメトリーな構成になっているように思われる。例えば、ファースト・シーンとラスト・シーン、淡水魚と深海魚、外の洗い場と中の洗い場など。これは台湾の現状を表現しているのか?
◆張作驥(北京語):シンメトリーな構成だと思われたとしても、それは語り方のひとつにすぎない。そうでなく作ったとしても台湾の現状を表現することはできたと思う。

■観客2(日本語):日本において、侯孝賢、楊徳昌、蔡明亮といった台湾映画はある程度の位置を占めている。しかし、台湾では台湾映画がほとんど観られていないと聞いた。台湾でアート系の映画はどのようにみられているのか?これらの映画の多くは、日本の資本が入っていたり海外の映画祭で賞を取ったりしていて、海外のマーケットではそれが売りになっているように思われる。国内のマーケットより海外のマーケットの方が重要であると考えるか?
◆張作驥:おそらく世界中どこでもそうだと思うが、映画界はハリウッド映画などの売れる映画に席巻されている。
◆自分の映画をアートというくくりで分けたことはない。単に映画を撮っているつもりである。
◆自分は撮りたい内容があるから映画を撮っている。それ以外は製作した後についてくるものだと思う。映画祭で認められることが最初に目的としてあるわけではなく、それは後から他人に与えられるものである。
◆映画を製作するのに、お金は重要である。映画を撮るチャンスがありそうなら、積極的にお金を集めることもしている。東京でもそういう機会があったので、参加してアイデアを話してきた。映画を作るのにお金が必要だと言うことであり、海外の資本だから重要ということはない。

■観客3(日本語):撮影秘話があれば教えてほしい。
◆呂蒔媛(北京語):李康宜をヒロインに選んだが、彼女はまだ若くてボーイフレンドと付き合った経験がなく、とても心配だった。キスシーンや強姦されそうになるシーンもあるので大丈夫か確認したところ、犬をつかまえてキスシーンの練習をするから大丈夫、ということだった。だから彼女のファースト・キスの相手は、范植偉ではなくて犬である。
◆張作驥:ヒロインの候補は4人いて、3週間くらいとても迷った。そこで、弟役の男の子と4人の候補者でいろいろコミュニケーションをしてもらったところ、李康宜とのやりとりが一番姉弟らしく見えたので、彼女を選んだ。
◆范植偉は、ガールフレンドがヒロインの候補者で、付き添いで来ていた。オフィスには入らず外で待っていたが、お腹が痛くなってトイレを借りに来た。そのときに彼の顔を見て、10秒くらいですぐにアピン役に決めた。外省人で兵役も経験しており、条件にも適っていた。
◆李康宜(北京語):一番よく憶えているのは、弟役の男の子とやりとりするシーンである。彼がいろいろと予想外のことをするのがおかしくて、シリアスなシーンでも笑いをこらえながら演技することが多かった。
◆范植偉(北京語):撮影の場所は基隆で、港町なので撮影が終わると監督は釣りに出かける。それに付き合わされて、翌日撮るシーンの説明などを聞かせてもらった。海鮮料理をたくさん食べたことも記憶に残っている。
◆張藝(北京語):音楽担当なので撮影には参加していない。自分は台湾語が話せないが、音楽をつけるため撮り終わった映画を100回以上観たので、台湾語の勉強になった。

映画人は語る1999年11月4日ドゥ・マゴで逢いましょう'99
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作成日: 1999年11月10日(水)
更新日:2004年12月11日(土)