1996年6月9日(星期日)

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Little India散策

[大仏]
◇千燈寺院の大仏◇

このほか、千燈寺院、ガラクタ・マーケットなどに行く。

千燈寺院(Temple of Thousand Light)は、Race Course Rd.に面したお堂で、中に入るといきなりカラフルな大仏がある。テカテカした総天然色、肌色の顔に赤い唇、目尻の下がったいやらしい顔つき。とてもポップでチープだ。宗教的な敬虔さやありがたみは皆無なのだが、お参りに来ている人たちはみな熱心に拝んでいた。

Jl. Besarの東側にあるガラクタ・マーケットは、かなり規模が大きく、日曜のせいか人出も多い。全くのガラクタからアンティークっぽいものまで、いろいろな露店が出ている。60年代くらいのたぶん香港の芸能雑誌とか、おもしろそうなものもある。

電脳中心1: Sim Lim Square

Rochor Canal Rd.にあるシンガポールの電脳中心、Sim Lim Square(森林廣場)に行く。旺角電脳中心のような香港や台湾の電脳中心に比べて、ゆったりしていて綺麗だが、その分怪しさはなく、ショッピング・センターという感じだ。電脳を買うつもりはないので、Video CDとLDを中心に見て回る。VCDは、香港のようにそれ一色という感じではないけれど、何軒か店があり、幾つか欲しいソフト(香港映画)があった。LDは香港よりも豊富で安い。いずれにしても、買うとしたらマレイ半島を回って戻ってきた後なので、今日は値段と品揃えのチェックである。

インドカレー★★

Serangoon Rd.とRace Course Rd.の間のあたりの庶民的な食堂に入る。客はみんなインド人で、家族連れが多い。チキンマサラとエッグマサラを注文(S$10.5、約¥420/人)。カレーだけを注文すると、バナナの葉を皿がわりにして、ごはん、チャパティ、漬物などを盛ってくれ、なくなると追加してくれる。カレーはおいしかったけれど、朝食が遅かったのと、ドアが閉まっていてものすごく暑くてビールが飲みたくてたまらなかったのとで全部は食べられなかった。外国人が残すと気に入らなかったと思われそうなので、できるだけ好きなものは残したくないのだが。金子光晴は「スラングーン通で印度カレーのからさを味った」[SG24]と書いているが、ここのは残念ながらそんなに辛くなかった。

食後、近くのオープンエアのカフェで熱くて甘いミルクティを飲む(S$0.70/杯=約¥55)。「オープンエアに熱い飲み物」というのが南国の基本だ。砂糖のたっぷり入った、日本でなら「こんな甘いもん飲めるか」という甘さも、暑さの中では心地よく、パワーがわいてくるのだ。

桜ホテル跡を見逃す

両替のためOrchard Roadに向かう。途中、金子光晴の常宿だった桜ホテルのあった場所の近くを通ったはずだが、チェックするのを忘れてしまった。桜ホテルは、Selgie Rd.からSophia Rd.に少し入ったあたりにあったようで、ここはMiddle Rd.を中心とした旧日本人街の北端にあたる([SG22]参照)。

桜ホテルに関しては、『西ひがし』[SG25]の中に次のような記述がある。

このホテルは、むろん、世間の人が頭に浮べるホテルということばにすぐつなげる豪華なものではなく、またつれ込みホテルともちがう、港で船を乗りつぐ人たちが、旅の間あいをはかるために一日、二日逗留するための「腰かけ休息ホテル」とでもいう性質のホテルで、部屋は二階に、ほんの三つばかり、階下は、撞球台が二台置いてあって、在留邦人の常連だけがあそびに来るところであった。僕が泊っている部屋は、港から来る人たちが、エスプラネードを廻って、邦人の多いスラングーン大通りに突きあたるところにあったので、窗の手すりからまっ正面に、人の来るのが望見できる便宜があった。(p191)

このあたりで二階から港のあたりまで見通すことは、今では無理なことだろう。

Orchard Roadはやはりつまらなかった

Lucky PlazaまでOrchard Rd.を歩く。歩道が広くて並木もあり、綺麗で歩きやすいのだが、予想通り全くおもしろくないところだ。パリや表参道のように、カフェや小売店が並んでいればまだおもしろいのだが、両側にあるのはショッピング・センターとホテルばかり。時折聞こえてくるのは西洋の歌ばかり。屋台もないし、ニセモノ時計売りさえ見かけない。

Lucky Plaza(ラッキー・プラザ)地下で両替する。レートはS$1=¥77.52。ここは、ごちゃごちゃした日用品などの店の並んだ、Orchard Roadらしからぬショッピング・センターである。地下には何軒か両替屋があり、交渉も可能だ。

MRT(Mass Rapid Transit)

MRTのOrchard駅で、Transitlink Farecardを買う。MRTはシンガポールの地下鉄で、Transitlink FarecardはMRTとバスに乗れるプリペイド・カードである。S$10(約¥800)+デポジットS$2で、残り金額が足りないときにデポジットから引かれるらしい。香港のMTRのように最後は足りなくてもOKというわけではないので、お得ではないのだが、S$10単位の継ぎ足しが可能で、一度買ったらずっとそのカードが使えるという仕組みだ。東京ではやっとSFメトロカードが導入されたばかりで、しかも使い捨てだというのに、シンガポールは進んでいて感心する。「ゴミを捨てるな」と言うからには、ゴミが出ない工夫をしているところが偉い。

MRTに乗ってChinatownへ行く(Orchard→Outram Park)。MRTの印象は、一言で言うと香港の地下鉄、MTRと似ているということだ。略称も似ているし、エスカレータが速いこと、乗り換えが合理的なこと、切符に時間制限があることなど、類似点が多い。多分、MTRをお手本にしているところもあるのだろう。違うのは、ホームと線路がガラス壁で仕切られていて、電車が来るとドアが開くようになっていること。これは冷房効率をよくするためだそうだ。車内のアナウンスは英語と華語だが、着く直前のは英語だけで、しかもものすごくそっけない。

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更新日: 1999年2月13日(土)