1996年6月17日(星期一)

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ホテルについて

朝起きると、ドアの下に新聞が置いてあった。そんな高級ホテルに泊まるのは、少なくとも海外では初めてだ。そういえば、チェックインのときにも荷物を運んでくれた。この旅行で利用した中でここは2番目に安いが、もしかしたら一番高級なのかもしれない。しかし、この薄暗さと湿っぽい感じは嫌だったし、せっかくの新聞も、英字紙だったので読まないで置いてきた。

ホテルは、個室でお湯の出るシャワーとトイレがあって、そこそこ清潔ならいいと思っているので、そういう意味ではどこも悪くはなかったが、特に風情のある宿やおもしろい宿にも泊まっていない。値段を比べてみると、最も高いのがSingaporeのYMCAで、最も安いのがKLのYMCAだが、これは物価の違いによるもので、両者の内容はさして変わらない。内容的にはMelakaのホテルが最もよく、雰囲気的にはKLのYMCAが庶民的でよかった。立地条件では、便利さという点ではKLを除いて悪くなかったが、次はもっと喧噪のど真ん中に泊まりたいと思う。

飲茶★★★

[旧チャイナタウン]
◇怡保の旧チャイナタウン◇

天気はくもりで、今にも雨が降りだしそうだ。

前述したように、Ipohは広東人が多いので、飲茶屋が何軒かある。そのうちの1軒、 Jl. Leong Sin Namにある明閣香港點心(Ming Court Restaurant)に朝食を食べに行く。店名に‘香港’などとついていると、なんとなく日本みたいで笑ってしまうが、ここだけではなく、‘香港飲茶’の看板をいくつか見かけた。

この店は、ワゴンではなく、點心を持ったおばちゃんが回ってくるスタイルの飲茶屋である。店内は狭く、香港の典型的な飲茶屋のように、新聞を読みながらゆっくりするというわけにはいかない。普[三耳] (ポーレイ)茶と點心5品で、合計RM8.90(約¥200/人)。

怡保の旧チャイナタウン

[Ipoh駅]
◇Ipoh駅◇
[ホーム]
◇Ipoh駅ホーム◇

ホテルをチェックアウトし、宿泊費をクレジットカードで払う。

時おり小雨が降る中、キンタ川(Sungai Kinta)を渡り、右岸の古いチャイナタウンを通って駅に向かう。左岸に比べて活気がなさそうではあるが、街並みはそんなに古そうな感じでもなく、物足りない。

再びSingaporeへ

Ipoh駅は、なかなか立派な建物であり、ステーション・ホテルにもなっている。定刻通りに来た10:57発の列車に乗り、再びSingaporeへと向かう。マレイ鉄道に乗るのもこれが最後だ。Singaporeまでは約9時間、今日はほとんど列車の中で過ごさなければならない。回って来た車掌さんは、なんと懐かしの寺田農氏だった。空模様も怪しいし、「あの悲劇、再びか?」という、かすかな不安がよぎる。列車の中では、いつものように、新聞を読んだり日記を書いたりして過ごす。

今日の新聞: 星洲日報

今日の新聞は、駅で買った星洲日報である。Pinangでは見あたらなかったこの新聞も、Ipohにはあった。

芸能関係は、最近台湾で出た3枚のアルバム、小蟲“想得太美”、郭子“回郭集”、倫永亮“不要拿我和他比較”の批評が、ほぼ1ページを使って大きく載っている。「ソングライターとして裏方で活躍していた人が、最近自分のアルバムを出して表舞台に出てきた」という文脈で、3人が取り上げられているようだ。このような傾向は昨年あたりから顕著である。

食堂車のマレイ風ランチ★★

昼食は食堂車で食べる。Meehoon goreng(炒めビーフン)、ayam goreng、teh(各2)でRM12.55(約¥280/人)。ほか弁のような容器に入っていて、食堂車で食べることも自分の席で食べることもできる。屋台などに比べると高いし味も落ちるが、新幹線の食堂車に比べたらずっとずっとよい。

Batang Melaka通過

列車は定刻どおり順調に進む。空模様はずっと怪しいままだが、スコールにも洪水にも出会わない。Tampinを過ぎ、洪水にあったあたりを通るが、今は洪水の影もない。そして急行列車の停まらない、懐かしいBatang Melakaを通り過ぎる。あんなことがなければ、その存在も名前も、記憶に留まることはなかった駅である。

出入国審査

マレイシア側の最後の駅Johor Bahru(ジョホール・バル)に到着すると、乗客が降りた後で、審査官が乗り込んできて出国審査がある。サインだけでスタンプを捺してくれないのが悲しい。

マレイシアともこれでお別れだ。きっと気に入ると思っていたけれど、予想以上にいいところだった。やがて国境を越え、列車は雨のシンガポールへ。ほぼ定刻の20:08に到着。列車を降りると、駅のホームで入国審査がある。税関はまたノー・チェックだった。

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更新日: 1999年6月20日(日)