1996年6月11日(星期二)

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パブでAnchor Beer★★★★

中心部へ戻る途中、庭に赤いプラスチック製のテーブルと椅子が並ぶ、オープン・エアのマレイ料理店を時々見かける。庭は気持ちよさそうだし、マレイ料理も食べたいけれど、アルコールがないと思うとつい避けてしまう。こんな暑いところでビールなしに過ごすなんて、ムスリムとして生きるのもラクではない。

街の中心であるマラッカ川左岸の市街地は新しいチャイナタウンであり、商店が並び賑やかだ。ビールが飲める食堂を探しながら歩いていると、Jl.Munshi Abdullahにみんながビールを飲んでいる小さい店があった。入ってAnchor Beer(アンカー・ビール)を注文する。大瓶がRM8.60(約¥380)。マレイシアの物価水準に対して、ビールの値段は高いと思う。ここは雑貨屋みたいなところで、料理はなく、みんなただビールを飲んでいる。Anchor Beerはちょっとクセがあって、Tigerほどではないがおいしく、すっかり生き返る。ちなみにこの店は、 [ML16-1] の地図では「パブ」となっていた。

屋台の經濟飯★★★★

Jl.Kee Annは、北側には食事のできる屋台が、南側には果物を売っている屋台が並ぶ通りだ。屋台の奥に並ぶ店では、チャイニーズ・ポップスが大音量でかかっており、華語、広東語、福建語の唄が混じりあっている。

ここの屋台で經濟飯を食べる。經濟飯というのは、数種類のおかずの中から好きなおかずを選び、お皿に盛ったごはんの上にのせてもらうものだ。オクラのカレー炒めなどをのせてRM2/人(約¥90)。このオクラは、「これさえあれば生きていける」というほどのおいしさだ。經濟飯という名前は一見貧乏くさく、あまり食欲をそそられないのだが、食べてみるとほんとに安くておいしくて、ぴったりの名前だと納得してしまう。

ランブータン(Rambutan)★★★

ホテルに戻り、屋台で買ったランブータン(RM2/kg=約¥90)を食べる。ランブータン(rambutan)は毛の生えた茘枝(ライチ)といった感じの果物で、屋台のおにいさんも「マレイシアのライチ」と言っていた。長くて赤い毛の生えた皮を爪でわって、中の白い果肉を食べるが、種と果肉が分離しにくく食べにくい。味も茘枝に似ているが、茘枝の方がおいしいと思う。

貢糖とBOH 3-in-1★★★★

コンビニエンス・ストアで買ったBOH 3-in-1を飲み、貢糖を食べる。BOHというのは、カメロン高原(Cameron Highlands)産の紅茶の名前で、BOH 3-in-1(Teh Campuran Segera/三合一即溶[女乃]茶)というのは、1杯分ずつパックされたインスタントのミルクティ・ミックス。「げきあまミルクティが家庭でも手軽に味わえます」というスグレモノである。貢糖(RM2.90=約¥130)というのは、薄いパイ皮風のものを固めたような、黄粉っぽい素朴な味の中国風駄菓子で、くずれないように食べるのが難しい。横浜の中華街でも同じようなものを売っている。

Melakaは、市街地の北部に大きなホテルがかたまっていて、このホテルもその中にある。街の中心部とこのホテル地区の間には、24時間営業のコンビニエンス・ストアが数軒ある。「24時間」はマレイ語で‘24 Jam’なので、‘24 Jam’と書いた看板が目立つようにつけられている。

今日の新聞: 星洲日報

昼間買った星洲日報(Sin Chew Jit Poh)(RM1=約¥45)を読む。これは中国語の朝刊紙で、おそらくマレイシアの華字紙では最も一般的なものである。簡体字で書かれているが、タイトルや見出しは繁体字だ。マレイシアでは、正式には簡体字が採用されていると聞いたことがあるが、目にする漢字はほとんど繁体字である。

芸能欄は“星洲體育”という別冊にあり、今日は、今週出るアルバム一覧や、チャイニーズ・ポップスのヒットチャートが載っている。今週出るアルバムの中に小蟲(Johnny Chen)と郭子を発見し、買わなくちゃと思う。ほかには松田聖子なんてのもある。ヒットチャートは、1位・張智霖(Julian Cheung)、2位・湯寶如(Karen Tong)、3位・劉徳華(Andy Lau)。全体を一瞥したところでは、華語ものより広東語ものの方が若干強いようだ。

Melakaの印象

Melakaはそこそこに活気のあるごくふつうの地方都市であり、そこにとってつけたように「洋」と「中」の観光地がくっついている、というのが私の印象である。「洋」の部分も「中」の部分も、それ自体は美しいけれども、どうしても「死んでいる」という感じを拭い去ることができない。古いものが、新しい今の生活の中で生きていないのだ。右岸のオールド・チャイナタウンの古いたたずまいは捨てがたく、再開発などせずいつまでも残してほしい。しかし、ここが生き残って活気を取り戻す道は、観光客相手の商店などになるしかないのだろうか。

来る前は、旧ポルトガル領ということで、澳門(マカオ)っぽいところを想像していたのだが、あまり共通点は感じず、すでに書いたように、どちらかといえば淡水を思わせる街だった。しかしながら、紅毛城をはじめとするヨーロッパ風の建物と、坂道に並ぶひなびた商店街が、うまく調和してひとつの街を形成していると感じた淡水に比べ、 Melakaにはそのような調和が欠けていて、全体としてはあまり似ていない。

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更新日: 1999年2月13日(土)