イエイエ上海 page 11
上海は東アジアの都市である。東京や台北や香港に似ている。そしてどこかが決定的に違っている。
現在の上海の魅力は、大都会的洗練と発展途上国的混沌とがミックスされているところだろう。すっかりミックスしつくされているわけではない。全く分離して存在するわけでもない。大都会の目抜き通りから一歩路地に足を踏み入れた途端、出現する露店と洗濯物の世界。洗濯物の隙間には、高層ビルが聳え立つ。
多くの人が興味をもつ上海は、租界の街・上海か、改革・開放の中で発展を続ける大都会・上海である。間がぽっかりと抜けている。租界時代の建物は、長い間、建て替える余裕も保存する余裕もなく使われ続けてきた。ふたたび発展を始めた現在、それらはふるいにかけられ、建築的、あるいは歴史的な価値を認められて保存されるものと、老朽化を理由に取り壊されるものとに分かれつつある。それは、租界時代が完全に過去になりつつあるということでもある。私も租界の街に興味を持ってやって来たひとりであるが、語られることのないこの50年間についても興味を持ちはじめた。租界時代とほとんど変わらない器の中で、人々はどのように暮らし、どのような街をつくってきたのだろうか。それらについてもっと知りたいと思う。
はじめての上海、はじめての中國は、気に入った。上海に限らず、しばらくは中國にはまってみるつもりである。中國制覇五ヶ年計画と名づけた私の旅行計画、次の目的地は旧滿洲である。
最後に、旅行のしやすさについて触れておきたい。中國は、個人旅行のしにくいところというイメージがあり、興味はあるが躊躇している人も多いと思う。しかし少なくとも上海では、それはすでに過去のものである。自分の頭で考える思考力と自分の足で歩く行動力、そして少しばかりの普通話または上海話力。それさえあれば、上海は旅行しやすい街である。
完
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