Jl.ImbiにあるImbi Plazaに行く。ここには電脳街があるのだが、Video CD屋はなく、おもしろいものは見つからない。
次に、Jl. Sultan IsmailにあるSg. Wang Plazaというショッピング・センターに行く。この中に、時代[金雷]射電器音響有限公司(Style Laser Electric Audio Sdn Bhd)というレコード屋があり、CDやカセットのほか、VCDやLDも豊富だった。ちょうどセールをやっていて、VCDが3枚でRM100(約¥4500)だったので、“堕落天使(天使の涙)”、“東邪西毒(楽園の瑕)”などを買う。どちらもまだ観ていない映画だが、共に今年公開される予定である。特に“堕落天使”のVCDは、この旅行でぜひ買いたいと思っていたものだったので、見つかって嬉しい。LDの値段は、一桁違うんじゃないかと思うほど高かった。またCDの値段は、少なくとも香港・台湾ものの場合、シンガポールより高い。これまでにも、Chinatownのショッピング・センターなどいろいろなところで見たのだが、定価があるのか、たいてい1枚RM39(約¥1750)前後の値段だった。
ショッピング・センターの入口近くを通ると、外はものすごい雨になっていた。ここに入る前から空模様があやしかったのだが、スコールが来たようだ。『西ひがし』 [ML22]には、スコールに関して次のように書かれている。
マライ南部の天候は、おどろくほど変りやすい。太陽の照っている日なかは、町の軒廊(カキ・ルマ)しかあるけない。うす日になったかとおもうと一日一回は必ずくる驟雨(スコール)の襲来である。いまのように耳も老いぼれていなかったが、家のなかでも、話がききとれない程だ。(p39)
雨がやむのを待って、Jl. Alorの屋台街に夕食に行き、鶏の[保/火]仔飯を食べる。これは、土鍋にごはんと鶏肉を入れて炊いた釜飯のようなもの。おそらく、香港によくある[保/火]仔飯と同じものだと思うのだが、ちゃんとした名前はわからない。アツアツで鶏にはタレがついていてとてもおいしい。熱い飲み物と同じように、外で熱いものを食べているとあまり暑さを感じない。ここは屋台だが、その奥にある家の人が出しているようで、ビールもあり、Anchor Beerを飲む。全部でRM16.3(約¥360/人)。
Chinatownまで歩き、昨日と同じココナツ・ワッフルと茘枝(ライチ)を買い、お気に入りのピンクのミニバスに乗ってYMCAに戻る。
Chinatownの屋台でRM3/600g(約¥135)で買った茘枝(ライチ)を食べる。やっぱりランブータンより茘枝の方がおいしい。
Kuala Lumpurの街は台北に似ている。まず、街のつくりだ。街の西側にある古い繁華街、街の東側にできた新しい繁華街、その回りに続々と建つ大ホテルといったところ。オフィス街、商業地区などの機能的な区分がいまひとつ曖昧で、全体的に混沌としていること。それから、一定のイメージを持たない喧騒の大都会といった雰囲気。どちらも、部分的に見ればローカル色豊かなところはたくさんあるのだが、それが近代化の波にのまれそうになっているといったらいいだろうか。これは東京にもいえることで、だんだん東京のような無機質な都会になりつつあるということかもしれない。
ただ、台北や東京と違うのは、この街の「泥臭さ」である。Kuala Lumpurが「泥んこの河口」という意味だからというわけではないが、この街の雰囲気を表そうとすると、「泥臭い」という言葉が浮かび、色で表すと黄土色という感じだ。無理やり違う言葉に直せば、「いまひとつ垢抜けてない」ということになるかもしれないが、田舎臭いとか、十分発展していないとかそういうことではない。何かこの街の過剰な感じが、泥臭さを感じさせてしまうのだ。
それから、マレイ人が非常に多いという印象を受ける。KLの人口の3分の2は華人だということだが、街を歩いた感じではとてもそうは思えないのだ。これはおそらく、KLが首都であることおよびブミプトラ政策と関連があるのではないかと思う。つまり、ブミプトラ政策により官庁の職員の90%がマレイ系だということだから、官庁などの多い首都KLでは、平日の昼間のマレイ人人口が多いのではないだろうか。また、マレイ人が多いと感じるのは、民族衣装を着た女性が多いからだが、民族衣装は日本でのスーツみたいなものだと思うので、やはり平日の昼間に多く見かけるのではないかと思う。