◇プラットホーム◇ |
プラットホームでシンガポールの出国審査、マレイシアの入国審査、税関があるため、改札開始はかなり早い。出国審査は、シンガポール人とそれ以外にしか分かれていなくて少し時間がかかるが、入国審査は、シンガポール人、マレイシア人、その他の3つに分かれていて速い。税関は時間がかかっているようだったが、日本人はノーチェック。入国審査を終え、書類の上ではすでに国境を越えている。
ホームでおもしろいものを見た。外との間には金網があるのだが、その外にジュース売りの屋台がいるのだ。金網の隙間から缶ジュースやお金をやりとりするらしい。買っている人は見なかったが、これは合法なのだろうか。
列車に乗り込み、とりあえず空いている席に座っていると、次々人が来て追い出されてしまう。おじさんが、「こういう場合は食堂車で待つんだ」と教えてくれたので食堂車に行く。食堂車といっても、売店で買ったものを食べるための簡単なテーブルと椅子があるだけのところだが、旅行気分はさらに高まる。
列車が出るとすぐに国境かと思っていたけれど、実際はかなりあって、郊外をえんえんと走る。シンガポールもけっこう広いようだ。いよいよジョホール水道を渡る。線路と並んで送水管が通っている。水はまずマレイシアからシンガポールへ送られ、精製されて再びマレイシアへ送られる[SG5]。国境はあっけなく過ぎて、マレイシア(Malaysia)に入る。
乗る前に買った新聞(聯合早報)をテーブルの上に置いていたら、通路をはさんで隣にいた華人のおじさんに華語で話しかけられ、新聞を見せてくれと言われる。中国語新聞を持っていたので中国人だと思ったらしく、
「中国から来たの? 台湾?」
と聞かれる。日本から来たと言うと、不思議そうに
「なんで中国語の新聞読んでるの?」
と聞くので、
「華語を勉強しているから。それに日本でも漢字を使うからけっこうわかる」
と答えたが、まだ納得しないらしく、
「もしかしておとうさんは中国人?」
などと聞かれた。
新聞を貸してあげて、売店で紅茶を買う(S$1、約¥80)。S$2硬貨を出したら、マレイシアの通貨RM(リンギット)で、RM1.5(約¥70)のお釣りが来た。
しばらくして、寺田農に似た雰囲気の車掌さんが席の番号を教えてくれたので二等車に行く。指定料金(S$8/人=約¥630)は、席に行ってから回って来た車掌さんに払う仕組みだ。不法占拠していた人たちにどいてもらって座る。
この車両内は華人が多く、すっかり広東語圏だ。途中の駅から乗ってきたおばちゃんのグループに切符を見せられ、「ここは私たちの席よ!」と広東語でまくし立てられる。確かに同じ番号だったのだが、ふと冷静になって車両番号を見ると全く別のところだった。気のいいおばちゃんたちで、教えてあげると大笑いして、何度も謝って賑やかに去って行った。まったくおばちゃんというものはどこも同じである。
二等車は、シートの座り心地もよく、前の席との間隔も広く、エアコンも寒くなく、なかなか快適だった。乗客にはゴミ用のビニール袋が配られ、ゴミの回収や通路の掃除もけっこうこまめに行われている。トイレもそんなに汚くはなく、水洗の洋式で、ホースもついているけどトイレットペーパーもある(運が悪いとなくなっている)。
目的地Tampinのひとつ手前、Gemasまで快調に進む。シンガポールは快晴だったが、北上するにつれ天気が悪くなり、激しいスコールにあい、再びくもりになった。新聞を読んだり、マレイ語の勉強をしたり、日記を書いたりして過ごす。
今日の新聞は、前述したとおり聯合早報である。今日の早報副刊の一面は、「6月は本地歌手(シンガポール(出身)の歌手)の新譜リリースが多い」という話題。葉良俊、陳潔儀、黎沸揮、吉娜、李偉菘、鄭展倫、許美靜の新譜リリース情報が載っている。これによれば、日本で先行発売されている吉娜のアルバムは、こっちではまだ当分出ないらしい。