シンガポール、マレイシアを訪れ、どこも気に入って楽しく過ごすことができた。しかし、残念だったのは、2日程度の滞在で次の都市に移らなければならなかったことである。本来、一都市滞在型の旅行が私のスタイルであり、ひととおり見るか見ないで終わるのは、不満が残るものだった。ただ、幾つかの都市を比較して捉えることができる点が、周遊型のメリットであることに気づいた。そういう意味で、今回の旅行は、これから何度も訪れるであろう星馬の予習と位置づけることができるかもしれない。
訪れた5都市の中で、私がとりわけ気に入った街はPinangである。私の旅は、まず映画や小説の中の風景があって、それを追体験するようなものが多いのだが、今回のように、自分自身が体験した街の雰囲気そのものに、これほど惹かれたことはかつてなかったのではないかと思う。
旅行を終えて約半年、旅行記を完成させるのにずいぶん時間がかかってしまった。現在、真冬の寒い東京で、灼熱の記憶と共にこの旅行のことを懐かしく思い出しながら、次のマレイシア旅行の計画を練っている。星馬の魅力は当分私を放しそうにない。
旅行につきあってくれた友人と、旅行中お世話になった方々に感謝します。
(1997年1月26日)
完